この浜に、天女が舞い降りた。
世界文化遺産「富士山」構成資産~三保松原~
江戸時代までの静岡市「駿府」とは、「駿河国府中(するがのくにふちゅう)」の略。「スルガ」の語源は今もインドネシア語に残っていて、「極楽」を意味するという説がある。古代の人は、この地にこの世の極楽を見たのかもしれない。
静岡市について知れば知るほど、今でもここは極楽だと実感する。その代表格となる三保松原(みほのまつばら)は、天然の良港、清水港を形成する三保半島の東側にあり、羽衣伝説の舞台としても名高い。古くは万葉の昔から、この地への憧れは和歌を生み、謡曲を生み、絵画を生んだ。
現代人であっても、この松原に立つと誰もが「何か特別なもの」を感じるらしい。この地に立てば、天女が舞い降りたという伝説も、もしかすると事実だったのかもしれないと思えてくるのだ。
三保松原は2013年に世界文化遺産「富士山」の構成資産として登録された。貴重なこの遺産を、いつまでも受け継いでいきたいものだ。