本物はいらないと思った。模型が欲しくなった。
伝統工芸の流れを汲む模型の世界首都
模型店内に陳列されたプラモデルの箱絵。 “ボックスアート” とも呼ばれるその見事なイラストレーションには、大人になった今でも、胸の高鳴る思いで見入ってしまう。
描いてきた絵師たちには、戦前から少年雑誌で挿絵画家として活躍してきた人もいた。戦後はプラモデルも活躍の場となり、模型店内が絵師たちのギャラリーとなって、魅了された子供たちが小づかいやお年玉を貯めてはそれを買い求めた。
子供のころ、接着剤にまみれてなんとか完成させたゼロ戦。手に持って掲げれば、箱絵の空を飛びまわる勇姿そのものと映ったものだ。
それもそのはず。日本が誇る模型メーカーが子供たちの夢をかなえるべく、世界最高の製品を提供してきたからだ。アオシマ、タミヤ、ハセガワ、バンダイといった世界ブランドは、ここ静岡市と周辺に集中する。
“模型の世界首都” 。そんな称号もある、駿府静岡市。ここに来て、また模型が欲しくなった。