「先生は和尚(おしょう)さん」
臨済寺(りんざいじ)の雪斉(せっさい)和尚
石の階段をゆっくり登っていくと臨済寺のようすがよくわかります。
まわりの緑と黒く大きい屋根、白い壁の塀(へい)──声を出してはいけないようなふんいきさえ感じます。ときどき見かける若いおぼうさんの姿がこの風景によく合っています。
ここはおぼうさんたちが勉強する寺なので、一般の人は寺の中まで入ることはできません。
昔、徳川家康公が竹千代(たけちよ)と呼ばれていた子どものころ、彼はきびしい戦国の世の中をどう生きたらよいかについて、この臨済寺で学んだと言われています。先生は雪斉和尚(せっさいおしょう)だったようです。
雪斉和尚は学問にたいそうすぐれた人でしたが、武将としても有能で、今川家の軍師でもありました。
家康公は9歳から13歳ぐらいまでいろいろと教えを受けたそうです。
家康公はのちにこの駿府静岡に「駿河文庫(するがぶんこ)」という図書館をつくっていますが、このことは幼い時に雪斉和尚から勉強することの大切さをしっかりと教えてもらったからに違いありません。