付録
駿府城天守調査の現状
調査について
- 調査の目的
平成6年度~平成10年度まで、静岡市では「駿府城関連資料調査事業」を実施。どのように駿府城の資料が内外に存在しているかについての調査。 - 調査範囲
国内と国外が対象、海外(イギリス・オランダ)にも調査を実施 - 調査範囲
・ 国内 322か所の機関〔大学・博物館・美術館・図書館・個人〕へのアンケート調査〔回答のないところは電話調査〕
・ 国外 21か国156機関〔大学・博物館・美術館・図書館・個人〕へのアンケート調査 英語・フランス語・スペイン語でアンケヘト
・ 依頼文は、市長の奉書形式(和紙に草書で候文体)によるもの、これは各国から大変好評を得た。中にはこれを博物館に飾るという所もあった - 調査結果
平成11年3月、「駿府城関連資料調査報告書」 ~大御所徳川家康の城と町 ~と題して270pの報告書を2000冊刊行、教育委員会で有料頒布〔現在入手不可のため図書館で閲覧貸出可能〕
駿府城天守の調査はどこまで進んだか
天守台について
- 駿府城天守台の構造は、全国的にも稀有な「天守丸構造」であること
- 天守台の取り壊し寸前の写真が、早稲田大学図書館から見つかる
- 掛川市内の財団法人大日本報徳社で、天守丸構造の図面〔「駿州府中御城図」〕発見
- 静岡県立中央図書館の「駿府城御本丸御天主台跡之図」は、正確な天守台の寸法まで把握でき、詳細に読み取る
- 国立国会図書館の、「日本城郭資料第16冊の内 駿府城」の記録にも天守台の図が詳細に記述されている
天守本体について
- 駿府城天守の指図〔設計図面の意味〕としては、的確な物は何一つ見つからない
- 天守の絵柄は、巻物類に沢山登場するが、美術的見地から描いたもので、即座に駿府天守を描いたものとされるレベルの物は少ない
-
期待されるイメージとして浮かぶ図柄は、次の二点に集約される
・日光東照宮蔵「東照大権現縁起」(重要文化財)の中の駿府城天守
(この図柄は、天守再興を断念した直後に狩野探幽が描き信憑性大)
・紀州和歌山東照宮蔵「凍傷大権現縁起」の中の駿府城天守
(住吉浄慶の描いた天守で、上記と酷似しており両者の関連がないことから信憑性大) - 文字情報としての駿府城天守の記載は、林大学の「慶長小説」その他多くが概要を伝えているが情報量が希薄
- オランダ・ライデン国立民俗学博物館所蔵の「道中記」にも、駿府城天守丸を示す図柄が巻物の中に描かれている(天守丸構造が理解できる)
現状で駿府城天守を視野に入れた作業の可能性としては
- 天守の位置は特定できるため、破壊されていない地下に残る遺跡の発掘作業
- 上記の作業によって、考古学データに基づき地上面の石積を記録によって復元する作業
- 天守台復元まで実施し、天守台再現から、次世代に天守の建造物の夢を託すこと
- 静岡市内の巨木を、天守建築のための用材として登録する
問題点
場所は国有林から私有林まで。ただし一本の巨木がどんなに見事でも、道も無い山奥では切り出して運搬するためのコストがバカにならないため不可能という - 市有林(私有林可)に子供たちや市民が植林し、300年後に用材として使用する運動
・天守造営の夢を未来につなげることができる
・この間に駿府城や静岡・徳川家康、城郭などへの研究が盛んになる可能性あり
- 300年後まで市有林に植林した樹木は、静岡市と市民が責任を持って管理する体制を構築すること
- その他
(平成16年12月24日)