大御所四百年祭記念 家康公を学ぶ

大航海時代の駿府の家康公

破格の待遇を受けたアダムズ

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アダムズが破格の待遇を受けていたことは、彼が本国に送った書簡の中で次のように述べていることからもわかる。「私は現在皇帝(駿府の家康のこと)のために奉仕し、日々の勤めを果たしているので、彼は私に知行を賜った。それはちょうど英国の大侯にも比すべき、八十人から九十人ほどの農民が私の奴隷か従僕のように私に隷属しているのである。このような支配的地位は、この国ではこれまで外国人に対して与えられたことがなかった。神は私の大きな災厄の後にこれを与えて下さったのである」(「日本に最初に来たイギリス人」より)。

オランダ国王使節が江戸に参府した際、逸見の按針屋敷に宿泊した。そのときの記録にも、「彼(アダムズ)は、この国の領主や王侯たちも、とうてい受けることがないほどの厚遇を皇帝から受けている。彼はすこぶる元気で、また経験に富み、きわめて実直な男だからである。彼はしばしば皇帝(駿府の家康)と言葉を交えるし、いつでもその前に近づくことができる。これほど寵遇をうけている人はごく少ない」とあり、一様にびっくりしていた。アダムズを顧問としたことによって、家康はそれまで以上に遠い海の彼方の国々へと視野を拡大していく。スペインが誇る無敵艦隊がイギリスに敗れたことで世界の権力地図が大きく塗り替えられたことや、イギリスやオランダが新たに東洋を目指して進出していること、それにキリスト教にもカトリックだけでなくプロテスタントの存在があることなど、当時の世界情勢をかなり正確に理解していた。

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