大御所・家康公史跡めぐり
若宮八幡宮の大楠と志貴家
若宮八幡宮 | JR静岡駅中原池ケ谷線、安東循環バス、浅間神社前下車、徒歩約5分 |
若宮八幡宮は、長谷通りを浅間神社石鳥居に向かって右側にある。この土地は社家〔神部神社志貴家〕の地の神様を祀っている場所で、境内には静岡市内でも巨木として知られる巨大な楠木〔静岡市天然記念物〕が繁茂している。 家康公はこの樹の下で憩ったという伝承がある。弘化2年〔1845〕の「駿河銘木番付」図によると、東の小結の位置を占めている。現在この樹木は目通し周囲10メートル、南北33メートルという。元は神部神社神主志貴家の領地であったという。
長谷の国分寺の大仏の首
安東の県立静岡高校の前に、長谷の国分寺と呼ばれる寺がある。永禄11年〔1568〕今川氏が武田信玄に敗れると、この寺も兵火に遭って焼失した。本尊の薬師如来は丈六の銅製の大仏であったが、首だけは潰されず池の中に投げ捨てられていた。後日その首を掘り出し本尊として崇めていたところ、慶長15年〔1610〕家康公はこのことを悦び、寺を再建させて覚雄という僧に浅間神社の供僧を勤めさせ、管理させたという。 明治になってこの寺が廃寺になると、音羽山清水寺に合併した。このため薬師如来の首は、現在も清水寺に安置されている。