大御所・家康公史跡めぐり
徳願寺
徳願寺 | 駿河区向敷地689、JR静岡駅から牧ケ谷線バス約15分、向敷地下車徒歩約25分 |
片桐(かたぎり)且元(かつもと)は慶長19年(1614)、歴史上有名な京都の方広寺の鐘銘事件のとき、豊臣の使者として大坂から弁明のために駿府の家康公に会いに来た。しかし遠慮して、直ちに駿府城に入らないで徳願寺で待機して、家康公の指示を待ったという話が伝わっている。
ところが、この寺は安倍川右岸の向敷地の山の中腹にあり、駿府城を上から見下ろす位置にあたる。このため片桐且元は、眼下に大御所家康公を見下ろすのは失礼であることから、この寺に宿泊しなかったという伝承もある。
徳願寺は北条早雲の妹〔北川殿〕の菩提寺で、古くは大窪寺(おおくぼでら)と呼ばれた安倍七観音の一つである。寺からの見晴らしは富士山をはじめ、静岡市内でも最高の景観と言えるかも知れない。駿府城は、正しく眼下に見えている。片桐且元が、眼下に大御所家康公の居城を見下ろすのは失礼であることから、この寺に宿泊しなかったということも想像できる。